外反母趾になりやすいのは若い女性という認識は間違っている?
外反母趾が一般的に知られるようになったきっかけは、日本にハイヒールの靴が定着し足に無理のある靴を履いているのが原因で若い女性に急増した側面も確かにありますが、実際は昔から老若男女問わず一定数の外反母趾の患者は存在していました。
その治療の仕方も当時は画一的で、手術でなければ治らないと認識されてきた背景があります。
手術でなければ完治しない外反母趾も勿論ありますが、実際には手術でなくても改善できる外反母趾もあり、最近では外反母趾が分類化され治療方法も細分化されてきたのが現在の足の医学の実情です。いずれは日本でも欧米のように足の専門家が生まれて専門外来が一般的になることが予想されます。
現在10人に1人が外反母趾になっていると言われている日本では、子供の外反母趾や男性の外反母趾が見過ごされがちで、女性特有の足の疾患ではないということを周知していただくことが外反母趾の早期発見・治療に役立つと考えています。
そこで今回は、誰でもなる可能性がある外反母趾になりやすい悪い習慣について考えていきたいと思います。
先日、このようなお悩み相談をいただきました。
【60代男性のお悩みです】
仕事を定年退職し、現在はたまに釣りに行くのが趣味で、遊びに来る孫の顔を見るのが楽しみな毎日です。
若い頃は運動をしていましたし、当時はスキーにもかなり足繁く行っていましたが、今は特に遠出をすることもなく、数カ月に一回妻の旅行に付き合うぐらいで歩く時間はかなり減っていると自分でも感じています。
その旅行の時に感じるのですが、長時間歩くと前よりも足が疲れやすく、履き慣れた靴でも足が痛くなり、冬場も冷えやすくなっているような気がします。妻が言うには外反母趾の足に見えるとのことで相談をしたいのですが、男性でも外反母趾になることはあるのでしょうか?
まさか自分が外反母趾になっているとは信じがたく、若い女性がなるものと思っていたので病院に行くのも正直抵抗があります。
できればこの年齢で足の手術はしたくないので、他に良い方法がありましたら教えていただきたいです。
よろしくお願いします。
ご質問ありがとうございます。
お話を聞く限りでも、かなりアクティブに過ごされてきたところに生活スタイルが一変したようで、その影響が足にも出てきていることが考えられますね。通勤に歩いていた人が、退職して車中心の生活になるだけでも足の運動量はかなり違ってきます。
何十年も毎日1万歩ぐらい歩いていたところに、急に生活圏が変わり1000~2000歩で生活するようになると、外反母趾の他にも腰痛や膝の痛みを訴える人は意外と多いものです。
これは筋肉量が激減することと関係しており、身体の重みを支えてきた筋肉が使われなくなり、骨や関節に直接負担がかかるようになって体の様々なところが痛むようになります。
痛みを感じるとそこを庇ってあまり使わないように意識してしまうので、さらに縮こまって筋力の低下と痛みが進むようになってしまうのです。
外反母趾も筋肉量とは切っても切れない関係にあり、歩く機会が減って足の裏への刺激や開閉する靭帯への刺激が減少することで、足の筋肉量が低下し開いたままもしくは閉じたままになり、体重のかかる関節が悲鳴を上げることになります。
それでは外反母趾になりやすい習慣についていくつか挙げてみましょう。
外反母趾になりやすい習慣
- ①歩き方が間違っている
直立した時の身体の重心がどこにあるか、意識して歩いていますか?
後ろ重心でのけぞるようにして歩く人や、膝を曲げたままペタペタと歩く人は踵から足の平までで体重を支えていて指先まで分散していません。
そのため、安定感が悪くなりそれを補うためにふくらはぎや腿、腰などに余計な負担がかかり体の様々な部分が痛むようになります。
指先まで体重がかかっていない人は外反母趾の中でも開帳足になりやすい傾向があり、見た目には親指の変形が目立たなくても指そのものが浮いていることがあります。足の指が曲がったまま浮いている人は要注意です。
- ②足の指の握る力が衰えている
①のような後ろ重心がダメなら前にかければ良いかというとそうではありません。
いくら前重心でも足の指先まで全体を使って体重を分散させていないと、指の付け根までしか使われず骨を地面に打ちつけて歩くようになります。
これが仮骨性外反母趾に多い原因で、地面に打ちつけられた骨が自らの防衛本能により、骨を肥大化させることから変形ではなく仮骨という形で親指の付け根が出っ張ってきます。
骨の歪みであれば整骨でケアできることも、骨の肥大化がかなり進行してしまうと、それこそ手術による治療を視野に入れなければならなくなりますので、今すぐ改善したい足の使い方と言えます。
- ③アーチのない靴を履いている
足に痛みを感じるとまず、大きめの靴、軽い靴、柔らかい靴を選びがちですが、これは全て外反母趾の足にとっては良い習慣になるとは言えません。
足にとって必要なのは、適度なカバー力と、重さ、運動を助ける程度の硬さです。
足の幅が広がったままになると、トレーニングをしなければ元に戻す力は低下したままになります。そこに加えて体重を分散して吸収してくれる適度なクッション性が無いと、どれだけ歩いても足への負担が増えてしまい有効な運動とは呼べなくなってしまいます。
- ④足の裏や指の間が硬い
肩や腰が張って硬くなるように、足の裏や指の間も赤ちゃんや幼児の時のような柔らかさは自然には得られなくなるものです。皮膚の硬さもありますが、柔軟性は続けていけばある程度は保てるものです。足の裏や指の間を揉みほぐし、握る力と開く力を維持しておくことが、正しい重心の歩き方を手に入れる近道となり、若々しさを保つ秘訣にもなることでしょう。
サキュレでの治療方法
サキュレでは、手技による外反母趾の矯正の施術を行っております。
外反母趾を自分でマッサージしたりテーピングしたりすると大体の場合悪化しがちなのは、親指の付け根で45度から場合によっては90度近く回転して脱臼していることと関係があります。
例えば、肩が脱臼している時に腕を回したら激痛が走るのと同じことが、指の付け根の関節で起こっているということです。まずは正しい位置に固定しなければ、外からの力も筋肉で動かす力も正常に作用しません。そのために、まずは、親指の付け根の関節を調整していきます。
骨盤矯正や頸椎ヘルニアなどの施術と同様に、施術後1回でも見た目はかなり変化します。
施術中の痛みはほとんどなく、数10分程度で完了します。
施術後すぐにハイヒールのパンプスを履くのは避け、なるべく裸足で歩く時間を作って、正常な骨格にしなやかな足の筋肉がつくように心がけましょう。
外反母趾の場合、足のアーチが崩れていることがほとんどですので、施術後も足のアーチを維持できるようにストレッチやエクササイズなどを取り入れると効果的です。
中度から重度まで進行した外反母趾になっている方のほとんどは、歩行時の衝撃でも激痛が走るのをかばうように、姿勢が悪くなっていることがあります。
姿勢は見た目の印象が生き生きと見えないこと以上に、体調面にも悪影響を及ぼしますので、外反母趾の施術と同時に全身の状態を整えていきます。
外反母趾と姿勢を改善すると、長年悩んでいた冷え性が解決したり、足が浮腫みにくくなったりするなど嬉しい効果も期待できますよ。
年齢とともに新しい筋肉は増やしにくくなり、腱や靭帯も加齢とともに伸縮力が衰えやすくなります。筋肉量が減り色々な部分でトラブルを起こすようになるのは、足もまた同じです。食生活や運動量、使い方を知り、体を支える足の健康について提案していきます。
サキュレで施術をした人の感想
やはり男が外反母趾を理由に受診をして良いものか迷いがあり、まずは腰痛の相談ということで相談に伺いました。しかしカウンセリングで外反母趾のことをお話ししましたところ、若い女性だけがなるものではないことを聞き安心して診ていただくことができました。特に高齢者にも増えているようで、周りの同年代の友人にも話をしようと思います。
昔の趣味だったスキー靴の影響もあったようで、硬い靴が足の親指の付け根にかなり負担をかけていたことは考えもしませんでした。最近のスキー靴が改善されたことはその後に自分でも調べてみたほどです。
実際に施術を受けた後、見た目が見違えるように変化したことに驚きました。妻から見てもすごい変化だったようでとても喜んでいます。骨格はその場ですぐに変化が見られるそうですが、それを定着させるには定期的に運動をしないとまた戻ってしまうと聞きましたので、これからは夫婦で道具が眠っているゴルフをまた始めようかと話しています。
何の用事もないと散歩にも行かないですし、用事は車で済ませる習慣が良くなかったのですね。これからは孫とも外で遊ぶようにして、自分の運動にもなるように楽しんでいきたいです。
嬉しい感想をお寄せいただき、誠にありがとうございます。
日本の女子スキーモーグルの選手だった上村愛子さんも、当初はスキー靴の負担と激しい運動量により外反母趾にはかなり悩まれたそうです。
質問者様もそのような足の状態に加えで生活のスタイルが変わったことで今回のような足の変化が起こりました。
年代によっては、質問者様のように男性が外反母趾になっていると認めたくなくて受診に躊躇する人もいらっしゃるのではないでしょうか?
外反母趾は今や、花粉症のように国民病と言っても過言ではない足の病気で、発見は早いに越したことはありません。
徐々に進行し、痛くて歩けなくなる頃には整骨では難しい段階に入ってしまうこともあるからです。
たまにたくさん歩くと足が疲れやすい、痛くなる場所があると、歩く量を減らして痛くないように過ごしたくなるのが普通の心理ですよね。これが足の筋力が低下しているところに追い打ちをかけて、さらに外反母趾になりやすい足のサイクルを生み出してしまいます。
そんな時は少しずる歩く量を増やして、歩いた後は足を揉みほぐして指の間を柔らかく保っておくことが大切です。
靭帯や関節の柔軟性は使わなくなればどんどん硬くなり、その周りの筋肉も固まってしまいます。
そこに急に運動をさせようとしても疲労が溜まり炎症を起こしやすくなるだけなのです。
若い頃は睡眠をとるだけで回復していた体も、伸ばして解放するワンクッションが必要となっていくということを理解しておきましょう。
これが原因?外反母趾になる悪い習慣 まとめ
今回は、仕事を定年された年代の人の外反母趾と、外反母趾になりやすい習慣についてお話してきました。皆さんの周りでも同じような悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
女性は家の中でも家事や炊事などから動いていることが多く、意外と生涯を通して運動量が激減するタイミングがないのですが、男性は仕事を辞めたり変えたりするだけでも運動量が一変するものです。そのようなタイミングで外反母趾になる可能性は高く、早い段階で見つけておけば骨格と生活習慣を見直す手立てを考えるのも早くなります。
寝たきりの状態になってしまうと、手技を施しても運動をすることが難しくなってしまうので、その前に防げると良いですね。
今回のお話の中でのポイントは、運動不足が外反母趾になりやすいことに加え、歩き方が間違っている、足の指を握る力が衰えている、アーチのない靴を履いている、などただ歩く量を増やせば解決するわけでないことがお分かりいただけたのではないでしょうか?
正しい骨格に加え、正しい重心と正しい足の使い方が必要不可欠で、自己流で改善するとかえって悪化することもありますので気を付けましょう。
カウンセリングの際も、昔スキーをしていた、サッカーをしていた時に大きなケガをした、野球をしていた時に腰を痛めたなどどんなことでも構いません。今までの体の変遷もお話しいただけると様々な症状との繋がりが見えてきますので、今は何ともないことでも教えてくださいね。
サキュレでは手技による外反母趾矯正の施術と、全身の整体を行っています。
手術という方法ではなく、日常生活を送りながら外反母趾改善していくこともできます。
気になる症状のある方は、まずはお気軽にご相談くださいね。